ミニコミ誌【W0B0R0】
俳句
川口市役所九句
(2016年3月3日)
梅に梅咲き役所の人の私服かな
ボタン押し番号札や目借り時
和式便所に自動手洗い栓や雛
市役所に出前続々とどき春
春疾風おかもちからカレーライス
日本語で数字読み上げられ日永
戸籍謄本交付手数料三月
亀鳴くやまじまじと見る原戸籍
春うらら新芝川をカブで越え


冬日向七句
(2015年11月29日)
冬日向アニエスベーの喪服かな
自分だけのものではなくて冬青空
小春日のへんな化粧をされてをり
焼かないでほしいと思う十一月
灰白く冴ゆる磁石でさぐりけり
冬麗をふくんだ骨壺をつつむ
斎場のひとは走って冬日和


伊勢湾フェリー五句
(2015年9月21日)
雁渡し車ごと船に乗りこむ
出航に気づかずにいた天高し
両側に有人島や鱗雲
敬老の日の海上にGPS
青波を踏まないように秋うらら


鶴巣出水二十一句
(2015年9月15日)
どこからが非常事態か秋黴雨
水の秋トラックに挟まれてをり
秋出水車高の低い車かな
不法進入させていただき秋驟雨
少しでも高いところへと蟷螂
蟋蟀も人も避難民になった
乗り捨てる覚悟のありて螽蟖
秋雨満ちて洗車機の溝につまずく
長き夜や内陸に潮のかおり
腰かけて身に入むヘッドライトかな
秋湿り作家ポメラをひらきけり
動かないiPhoneの中の雨雲
そぞろ寒道にトラックの連なる
ゴアテックスと男子たよりになり朝寒
遠峰や秋草と虫を分け入る
秋川や二度目の進入は梯子で
秋天のもとで水位を確かめる
爽やかや靴下干されるラシーン
「台風の影響」ニュースサイトを見る
穴惑そういや腹も減っていた
飛蝗にも人にもさようならESSO


入院十七句
(2014年11月8日)
秋の日の入院患者に私も
名前入りリストバンドやそぞろ寒
食堂をはさみ東と西である
ハロウィンの祭り寿司なり良夜なり
秋の夜の胸元で鳴る電子音
月見えぬベッドの上の食事かな
飲み忘れたくすり隠して星月夜
傷見せる人の居なくて天高し
病室に家族全員揃い秋
重湯にも書く「新米となりました」
秋曇り堂々とする二度寝かな
夕飯は鮭のテリーヌとお粥
秋澄める眠れましたと言っておく
文化の日六人部屋に一人居り
爪切りを所望するなり芋けんぴ
暮の秋慣れた様子の患者かな
馬肥ゆる天気予報を見なかった


椅子ライフ五句
(2014年9月23日)
秋彼岸白い坊主の高笑い
脱いで畳んで渡す羽織や秋袷
餌をやるように投げたる夜這星
まだまだまだ歯で弾くギター夕野分
秋時雨ひとのギターを撫でてをり


ジョイ本パズル十句
(2014年5月29日)
青梅や右手にガスの博物館
早苗月走りたくなる広さかな
万緑や伊勢丹にないものが在り
山椒の苗は無花果の木の先
ケルヒャーの試し撃ちして薄暑かな
夏の虫生きているのと死んでるの
五月晴れ冷凍豚足の冷たし
夏館ぱらりとはまるピースかな
真剣な無言の女いる午睡
夏の天猫背の先の観光地

その他・雑記へ